新宿二丁目本「AiLARA 『ナジャ』と『アイララ』の半世紀」(7月7日発売)、ようやっと責了紙を完成させて、編集長に引き渡してきた。
深夜まで店の奥でこつこつ赤字を入れていたら、酒乱で著名なO氏がやってきて、いつものようにしつこくまとわりついてくるので、平常時なら「ハイハイ~」って流すんだけど、こっちは寝てなくてカリカリしてるし、あまりに頭にきたので蹴りを入れて追い出してしまった。
そうしたら、O氏は、驚いたのか、それともそれがなんだか良かったのか、その場に土下座して
「女王陛下、大変申し訳ござりませぬ!」
とか言いながら頭を下げていた。呂律がまわってなかったから、きっと忘れてるだろうけど。
酒乱の相手をするには、ひとつには、場馴れして、他人に“期待”するという心を一切捨てた境地と、そして、しっかりとした睡眠時間に支えられた穏やかな精神状態、この両方が必要不可欠なのだ。
O氏ってあちこちで酒乱を咎められて、出禁になったり、喧嘩してぶっ飛ばされたりしてるんだよね。いつだったか、近所の店のドアにオシッコひっかけて、店主に股間ひきちぎられそうになっていた。
もう飲める店がほとんどなくなってるから、教育的指導はするけど、なんだかんだ「あれはもう、しょうがないのよ」の一言で抱擁する雰囲気ができている。歴代スタッフのほぼ全員が、一度はO氏のこと殴ってるけど。
なんだかこの数日、テレビも新聞もあまり目を通す時間がなくて、浦島太郎状態だ。赤ペンとカカオ72%のチョコレートだけが私の友達だった。
写真左は、1974年の『ユリイカ』臨時増刊号(青土社)。
表紙は、女性ポートレート界の巨匠・沢渡朔さんが若き日に撮った『少女アリス』。
沢渡さんのインタビューももちろんあるし、一緒に戦後の写真界を牽引してきた大学からの親友・篠山紀信さんが語る沢渡さんの話も面白いよ。お楽しみに。